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Interview
SDGsの先駆者に訊く

Re:toucher 64
堆肥で発電する
再エネへの挑戦。

岐阜県立大垣養老高等学校(岐阜県大垣市)

動物科学科 3年生 加納 愛与さん[写真中央]
石井 愛大さん[写真右]
インタビュアー Re:touchエグゼクティブプロデューサー 田中 信康
SDGsターゲット
  • 07 エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
  • 11 住み続けられるまちづくりを
  • 12 つくる責任 つかう責任
  • 13 気候変動に具体的な対策を
  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう
※このターゲットはRe:touch編集部の視点によるものです
2025年12月20日、朝日大学で開催された「ぎふ未来社会共創プロジェクト探究アワード2025」において、大垣養老高校動物科学科3年生の加納愛与さんと石井愛大さんが特別賞であるセイノー賞を受賞。大垣養老高校で飼育している馬や牛の堆肥を地域農業の活性化に役立てるとともに、こうした堆肥からメタンガスを生成してバイオガス発電する挑戦を研究発表した。
日本でも実用化された事例が未だ希少なこの分野で、高校生たちの再生可能エネルギーに向けた思いは、大垣養老高校の先生だけでなく、再エネのソリューション企業や京都大学の大土井教授などを動かす。そして、夏休みも毎日学校へ通って、バイオガスプラントへの投入実験を繰り返した結果、馬や牛の堆肥から生成したメタンガスで発電に成功する。
今回は、堆肥から生成したメタンガスの燃焼実験で水が沸騰した時、みんなで喜びを爆発させたという加納さんと石井さん、また、2人を指導した大垣養老高校の三輪嘉文先生にお話を聞いた。

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バイオガス発電の研究発表で、
セイノー賞を受賞。

田中:朝日大学では、SDGsに貢献する探究学習に取り組む高校生が研究発表する場として「ぎふ未来社会共創プロジェクト探究アワード2025」が開催され、2025年12月20日までに全国の高校から29チームの応募があり、一次審査を通過した8チームが研究発表を行いました。
 今回は、「畜産廃棄物及び食品残渣によるバイオガス発電~持続可能社会の創造化~」の研究発表でセイノー賞を受賞された大垣養老高校の加納さん、石井さん、そして、ご指導された三輪先生にインタビューさせていただきます。
 それにしても、すばらしい研究発表でしたね。私も審査委員として会場でみなさんのプレゼンテーションを聞きましたが、どのチームが最優秀賞に選ばれてもおかしくないくらいの大接戦でした。

加納:ありがとうございます。田中さんに審査講評される内容を聞いて勇気が湧きました。

田中:加納さんと石井さんの課題研究は、大垣養老高校で飼育している馬や牛などの堆肥を地域農業に役立てる、また、そうした堆肥から発電するということですが、こうしたことに着目したきっかけから教えてください

加納:大垣養老高校には課題研究をする授業があって、動物科学科には馬の活用班、馬の繁殖班、そして、私たちの堆肥班の3つの班があって、みんなで自由にやっていいよっていわれています。

田中:職業高校ならではすばらしい授業ですね。

加納:それで、堆肥がどのように使われているのかとかいろいろと調べてみました。堆肥って化学肥料に比べて安全で効果があるのに、農業の現場ではほとんど使用されていないんですね。

田中:私たちが小さいころは、田んぼや畑によく積んであったものが、最近は見かけなくなりましたね。

加納:そこで、堆肥が安全で効果があることをリーフレットにして配布したほか、地域のホームセンターなどで堆肥を販売。大垣市で農業をされている方に使ってもらえるようにしました。

田中:今年度、20ℓ入りの袋を232袋と、軽トラック5台分の合計9,000ℓの馬糞堆肥を農地に還元したことには驚きです。素晴らしい。

加納:ありがとうございます。2つ目のバイオガス発電については、日本では石炭や石油などの燃料のほとんどが海外から輸入されていて、生活や産業に欠かせないエネルギーが自給自足できていません。それでは私たちの将来に向けて持続可能ではないと思い、三輪先生に相談しましたら、再生可能エネルギーについて教えていただき、糞尿や生ごみなどで発電できないかと考えました

田中:石井さんからも補足いただけますか?

石井:私も、最初の班決めの時にいろいろと考えていたんですが、堆肥班にちょっと興味がありました。メタンガスで発電できれば、災害時にも役立ちます。また、大垣養老高校の動物舎をもっと明るくできるなど、たくさんのことができるんじゃないかと、自分から堆肥班をやりたいと手を挙げました。そこから、糞尿や生ごみを再利用するバイオガスプラントを設置してもらい、高濃度のメタンガスを効率よく生成する実験をしてきました。

田中:そういえば、堆肥が積まれているところには、湯気が上がったりしていましたね。

石井:それがメタンガスです。

田中:三輪先生、この課題研究の授業って、生徒さんが自由に進めていくのですよね。

三輪:そうなんです。大垣養老高校には課題研究という授業が、2年生で2単位、3年生で2単位ありまして、これらのレポートとして卒業論文みたいなものにしています。この課題研究のテーマは生徒たちが自由に考えて、自分たちで計画を立てながら活動することになっています。

田中:やっぱり、普通科では考えられないアクティブさだ。とてもここまではできない。

加納:大垣養老高校では普通です。

田中:着眼点がとても重要になると思うのですが、加納さんは持続可能なエネルギーや循環型社会の構築。石井さんは災害時のライフラインや動物舎の照明という社会的課題に着目されていて、SDGsやサステナビリティの視点から堆肥について課題研究されている点がすばらしいですね。

加納:ありがとうございます。

田中:特にバイオガス発電については、課題研究が進めば進むほど、行き詰まったり、わからないことが多々出たと思います。そういう時どうしましたか?

加納:私たちの場合は、先生方が協力してくださる企業とか大学の先生とかを探してくれましたので、困った時はそうした企業や大学の先生に聞いていました。

田中:自分たちで解決できないことは、積極的に外部連携したのですね。

加納:そうですね。再生可能エネルギーのソリューション企業に計画立案を手伝ってもらい、そこから京都大学の大土井教授に指導していただきながらバイオガス発電の課題研究を進めました。


バイオガスプラントを設置し、
メタンガスの生成実験を開始。

田中:バイオマス発電について、どのような段階を経て取り組んだか、具体的に教えてください。

加納:私たちのバイオガス発電では、動物の糞尿だけでなく、学校の寮から出る生ごみも利用しています。これらを混合すると、メタン菌などの微生物が活性化されて、有機物からメタンと二酸化炭素の混合ガス、すなわちバイオガスが生成されます。このメタンガスを集めて、発電に利用する仕組みをつくりました。

田中:大垣養老高校で飼育している馬や牛の糞尿だけでなく、学校の寮から廃棄される生ごみも使っているのですね。

加納:2025年の6月にバイオガスプラントを寄贈していただき、試運転後、毎日朝と夕に糞尿や生ごみの投入量やプラントの液温などを管理。発生するメタンガスの濃度をガスモニターで、また、発生量はアルミパックとバランスボールで測定しています。

田中:本当に地道で根気のいる実験だ。

加納:糞尿だけでなく生ごみや米ぬかを投入してみると、メタンガスがたくさん生成されるようになり、糖類や脂質、タンパク質などの易分解成分が多いと発酵が促進されることがわかりました。2025年の12月には、バイオガスで発電機を動かすことにも成功しています。

田中:これだけのことを1年間でやったの?

加納:1年間です。

田中:これまでたくさんの高校生たちに驚かされてきましたが、加納さんと石井さんには驚愕です。大垣養老高校の先生だけでなく企業や研究機関を巻き込んで、持続可能な地域農業やエネルギーについて提案しているこの意義は非常に高いですよ。

加納:わからない時は自分で調べたり、あとはいろいろな方に意見を聞いたりして、わからないところがないようにしていました。

石井:私もわからないことがあれば調べたり、企業さんに聞いて理解したうえで、バイオガス発電を進めてきました。

田中:本当に、1年間でここまでやれるとは、仰天ですね。バイオガスプラントも拝見しましたが、すごいスピード感です。


夏休みも毎日学校に通って、
糞尿や生ごみを投入。

田中:課題研究の活動のなかで、一番大変だったことは何ですか?

加納:個人的には、夏にバイオガスプラントの実験を開始しましたので、夏休みもほぼ毎日、学校に来て、糞尿や生ごみを投入して測定していたのが、ちょっと辛かったですね。

田中:毎日、炎天下で糞尿と生ごみを投入。そういった大変な作業があったわけですね。

加納:そうですね。

田中:糞尿や生ごみのメタンガスで発電は、国内でもそうそう事例があるわけではないので、自分たちで切り拓いていかねばならなかったと思います。

加納:大垣養老高校と同じような小型バイオマス発電を京都大学でもやられているので、大土井教授に指導してもらいながら京都大学での実績を参考にして実験をやってきました。

田中:なるほど。石井さんはどんなところに苦労されましたか?

石井:私も、夏休みも毎日のように学校に行って、朝からずっと一日中、バイオガスプラントで糞尿や生ごみをかき混ぜているところとか、メタンガスの生成量を測るバランスボールを見て記録していました。バイオガスプラントがビニールハウスのなかにあるので、本当に暑くて汗だくになりながら実験をしていました。

田中:2025年の6月から毎日、メタンガスの濃度や生成量などを測定して、ぎふ未来社会共創プロジェクト探究アワード2025で研究発表された結果が出たのは、いつごろだったのでしょう?

加納:2025年の11月後半ぐらいでした。

田中:本当に、研究発表の直前だったのですね。研究途中に不安にもなったと思います。

加納:とても不安になる時がありました。

田中:当初のスケジュール通りに、バイオガス発電の実験は進みましたか?

加納:予定通りではなかったですね。バイオガスプラントの設計が延びたり、設置をやり直したりしましたが、何とか研究発表に間に合いました。

田中:ほかにはどんなトラブルがありました?

加納:最初、メタンガスが生成されなくて、そういったことがちょっと問題になりましたが、糞尿や生ごみの投入量を調整したりとか、あとは、液温の温度調整をしたりして、問題を解決していきました。

石井:私も、最初、糞尿や生ごみを投入していたんですが、バランスボールがあんまり膨らんでこなくて、その対策として、米ぬかとか、大垣養老高校には寮があるので、寮の生ごみを投入してかき混ぜたら、最終的にバランスボールも膨らむようになりました。そうして生成したメタンガスで燃焼実験を行ったら、無事に火がつきましたし、お湯も蒸発させることができるようになりました。

田中:水が沸騰した時は感動したでしょう?

石井:本当に感動しましたね。


再生可能エネルギーへの思いに、
たくさんの大人たちが協力。

田中:日本でもバイオガス発電の実績がそんなにあるわけではなくて、まだまだいろいろな課題があって実証実験の段階だといわれています。そんななかで、エネルギーとして利用できるメタンガスが生成できたことを聞いて、 今回の課題研究に協力してくれた企業や研究機関のみなさんの反応はどうでしたか?

石井:バランスボールがめちゃくちゃ膨らんだ時や、研究発表でセイノー賞を取った時に、今回ご協力くださったみなさんにも喜んでいただきました

加納:大垣養老高校の友達とかにもたまに手伝ってもらうことがありましたが、毎回、すごい課題研究だねとか、あとは、何でこんなことやっているのとかいわれていました。

田中: そうでしょうね。地球温暖化や気候変動対策として、石炭や石油など化石燃料に頼らない、再生可能エネルギーが注目されています。アメリカではトランプ大統領が再生可能エネルギーへの補助金を廃止したりしていますが、日本ではエネルギーの自給自足ができておらず、経済の安全保障という側面からもこれからますます重要になってくると思います。

加納:そうなんですね。

田中:あとは、今回の課題研究は循環型社会の構築に大きく貢献するものといえます。大垣養老高校で飼育している馬や牛の糞尿、いわゆる廃棄物を、地域で農業をされている方に堆肥として活用してもらう。また、メタンガスを生成して、エネルギーとして再生する。
これを学校の先生だけでなく、企業や研究機関などたくさんの大人を巻き込んで実現できたのは、持続可能な社会へ向けた大きなイノベーションといえます。そんな大それたことを、加納さんと石井さんのような高校生が成し遂げたのです。こうした取り組みは、今後も大垣養老高校で引き継いでくださいね。

加納:すでに後輩に引き継ぎました。

田中:すばらしいです。次の課題とかは見えているんですか?

加納:冬季にメタンガスの生成量を減らさないようにするには、また、メタンガスがたくさんたまった時にどうやって有効活用するかなどが、現在の問題点として挙がっています。

田中:加納さんや石井さんのようなSDGsやサステナビリティの教育を受けた若者たちが、私たちはこんなことがしたいと地域社会でどんどん活躍するようになるのはとてもいいことだと思います。加納さんや石井さんは今回の課題研究での経験を、これからどのように活かしていきたいですか?

加納:今のところは、私はほかの分野に進みたいと考えています。

石井:私も、直接は生かせないかもしれません。警察犬や探知犬のトレーナーになりたいと思っていて、犬の嗅覚という特殊能力を犯罪防止に役立てる仕事に就きたいです。ただ、メタンガスで発電して災害時に利用したいといいましたが、被災地で救助犬と一緒に人命救助できればいいですね。

田中:すばらしいですね。加納さんは将来、どんなことがしたいの?

加納:将来は、動物園とかで動物を飼育したりする仕事をしたいと思っていて、バイオガス発電からは少し離れますね。

田中:その中で、今回の課題研究の着眼点や貴重な経験は、将来どこかで活きてくると思いますよ。私が勤める印刷業界でも、これまで競争していた会社同士で手を組むことが実際に行われるようになりました。自分たちの強みだけでなく弱みも補完することに繋がるなら、一緒に手を携えてやりましょうと。ですから、加納さんや石井さんはまだまだ長い人生を歩んでいくわけですので、これからがより楽しみです。
加納さんや石井さんの循環型社会や再生可能エネルギーへの思いが、大垣養老高校の先生たちや企業、研究機関を巻き込んで、バイオガス発電へとつながりました。こうした思いが根底にあって、業種や業態を越えて力を合わせることで、新たな発想が生まれてくる。この循環で持続可能な社会形成が実現していくのです。

三輪:加納さんや石井さんの課題研究も入口のところは小さかったかと思うんですが、周りの大人たちがサポートしてくれて、こういうやり方があるよ、こういうやり方もあるよと、どんどんどん広がっていきました。私たち指導する側も視野を広げるというか、そういうことができるようにならなければと痛感しています。

田中:高校生が大人たちと一緒に考える機会など多くはないことで、とてもいい経験になったのではと思います。しかも、再生可能エネルギーというこれから注目を集めていく分野ですから、加納さんや石井さんが思っている以上にすごいことに取り組んできたといえますよ。


発電時のロスをはじめ、
まだまだ課題が多い。

田中:しかも、農業ってこれからのビジネスとしてよりスピーディーな進歩が期待されていますし、そのなかで堆肥やエネルギーを循環させようという視点は、地域社会の持続発展に間違いなく貢献するものです。

加納:大垣養老高校では課題研究の発表会を行っているんですが、2年生のみなさんにも関心を持ってもらうことができました

田中:そうやってバイオガス発電についてみんなに知ってもらうことで、いろいろな人からアイデアや意見を聞くことができるようになり、さっき三輪先生がおっしゃったようにどんどん世界が広がっていくようになる。これが共創の素晴らしさです。

加納:よくわかりました。

田中:加納さんも、石井さんも、動物への愛着がすごいですね。

石井:私は、動物のなかで一番好きなのが犬です。 大垣養老高校に入学しようと思ったのも、この学校に美濃柴がいるって聞いたからです。将来も動物に関わる仕事ができたらと思っています。

田中:石井さんは、災害のことにも触れられましたが、地球温暖化や気候変動などで自然災害が甚大化しているなかで、そういった地域社会が抱える社会課題を解決していくという視点はとても重要なので、これからも大切にしてほしいですね。

三輪:生徒たちが実験してきたバイオガスプラントの課題は、年間を通じて安定してメタンガスを生成できない。外気温が低くなってくると、メタンの発酵が抑制されてしまいますが、私たちは技術屋ではないので、どうやって対処したらいいのかわかりません。

田中:そういった課題もあるのですね。

三輪:また、生成したメタンガスをどのように利用したらいいか、現状では京都大学からガソリンを燃料にした発電機をいただいているので、ガソリンとメタンガスを併用しています。ただ、エネルギー効率を考えると、今のままでは持続可能ではありません。

田中:どうしても発電の段階でロスが生じますからね。

三輪:なので、こうやって取材していただき、みなさんに知ってもらうことで、ご協力いただける方が増えることを期待しています。

田中:私たちもこれをご縁に、いろいろとご協力させていただきたいと考えています。

三輪:生徒たちも気づいていると思いますが、バイオガスプラントに投入している糞尿や生ごみは、本当に一部にすぎないんですよ。大半が循環できずに焼却処分している。生徒たちは自分たちがやっていることは小さなことだと誤解しているので、こうしたことをきっかけに糞尿や生ごみを循環する大きなうねりになればいいですね。

田中:地域社会全体がそういった循環型社会の構築に敏感になってほしいところです。

三輪:あとは、加納さんと石井さんの課題研究にある発酵槽についてですが、このなかに生成される液体の肥料が農業に活用できるのではと考えています。大垣養老高校の畑で試してみたら、大根とかキャベツがものすごく大きくなったんですよ。こうしたことも実証できれば、農業の活性化につながるのでは思います。

田中:そうなんですね。化学肥料で作るより、おいしそうですよ。

三輪:こうしたことが定着すれば、地域社会の発展に貢献できますよね。

田中:どの分野でも循環型社会とかリサイクルとかで課題に挙がるのは、人々の意識なんです。例えば、牛乳やお酒などの紙パック。本当はリサイクルできるのに、ペットボトルを減らせるのに、なかなか普及しないのです。スーパーなんかに回収ボックスを設置してもあまり集まらない。

三輪:確かに、新聞紙や雑誌はリサイクルが定着していますが、紙パックはどうなっているか知らないです。

田中:ほかにも、オーラルケア業界が歯ブラシをリサイクルしようとしていますが、これもあまり広がっていません。

三輪:どうして広がらないんですか?

田中:発信力が足りないというのもありますが、生活者の側もごみを出さずに回収して再生し循環させるという資源を大切にする意識が、まだまだ低いといわざるをえません。こうしたことを社会貢献活動のみとして留めてしまうとなかなか進まない。サーキュラーエコノミーといわれるように、むしろソーシャルビジネスと考えてブレークスルーしていくべきでしょう。

三輪:生徒たちが堆肥をホームセンターで販売したようにですね。

田中:そうです。ビジネスという視点からバイオガスプラントを考えていくことも大切です。

動物科学科 教諭 三輪 嘉文さん

循環型社会への貢献は、
後輩たちが引き継ぐ。

田中:どうしてバイオガス発電の課題研究をやってみたいと思ったのですか?

河原:研究発表を聞いた時に、馬班の中で一番実験っぽくて楽しそうだなと思って。

田中:大栗さんはどう? やる気満々かな? 難しいなって感じはしない?

大栗:難しくて、どういう仕組みなのか最初わからなかったんですが、詳しく調べていくうちに、だんだん楽しいなと思えるようになりました。

田中:でも、すごいですね、ちゃんと後継者がいて。大垣養老高校でこの分野を成長させていくと、中学生たちがこの学校に入学したとい評判になりますよ。この課題研究がアップデートされたら、継続取材させてください。

大栗:がんばります

田中:お2人とも頼もしいね。さっきの話じゃないですが、やっぱりいかに廃棄せずに循環させるか?ということだと思いますよ。みなさんは、徳島県にある上勝町の取り組みを聞いたことがありますか?

河原:ありません。

田中:2003年(平成15年)に日本初の「ゼロ・ウェイスト宣言」を行い、ごみの分別を45種類以上に細分化して、リサイクル率80%超を達成した持続可能なまちづくりの先進地です。
 私も直接伺いましたが、上勝町の住民のみなさんのごみを出さないことへの意識がとても高く、100パーセント循環できるようにしようとしています。この上勝町の取り組みなどもヒントになるかもしれないですね。
また、何より大垣市と一緒に何か連携できるかもしれません。

大栗:私たちの身近でもいろいろと実施されているんですね。

田中:良い取り組みは、些細なことでも発信することって大切で、地域社会にとってこんないいことをしているというのを、私たちの時代はあえてアピールしないことが美徳でしたが、現代ではむしろアピールして、広くたくさんの人に知ってもらうことが必要です。そこから、世代や分野を越えた人たちとの交流が生まれ、また新しい発想へとつながっていくのです。
 今日はありがとうございました。みなさんの今後に期待しています。

動物科学科 2年生 河原 知咲さん
動物科学科 2年生 大栗 遙華さん

TOPIC

  • 07 エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
  • 12 つくる責任 つかう責任
  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう
※このターゲットはRe:touch編集部の視点によるものです
朝日大学が開催している
SDGs探究学習の発表の場。
朝日大学では、SDGsに貢献する探究学習に取り組む高校生が研究発表を行う場にするとともに、世界で活躍することができる若者を育成することをめざして、2024年から「ぎふ未来社会共創プロジェクト研究アワード」を開催。今年は全国の高校から29チームの応募があり、2025年12月20日に書類による一次審査を通過した8チームが研究発表を行った。 2025年の最優秀賞は、岐阜農林高校の「段ボールが世界を救う!ソーラーフードドライヤーの開発に関する研究」。大垣養老高校の加納さんと石井さんが研究発表した「畜産廃棄物及び食品残渣によるバイオガス発電」はセイノー賞を受賞しており、馬や牛の堆肥を地域農業や再生可能エネルギーに活用するという発想の秀逸さなどは、研究発表当日に審査員として参加していた田中信康も高く評価している。

Company PROFILE

企業名(団体名) 岐阜県立大垣養老高等学校
校長 西脇 勝己
所在地 〒503-1305
岐阜県養老郡養老町祖父江向野1418-4

Re:touch Point!

馬や牛などの堆肥には、いろいろな可能性がある。

Re:touch
エグゼクティブプロデューサー
田中 信康
大垣養老高校の加納さんと石井さんの頭に浮かんでいたのは、毎日廃棄される馬や牛の糞尿を何とかしたい、そんな身近な困りごとの発想が発端であったのだろう。SDGsやサステナビリティについて学んでいる現代の高校生たちが、社会的課題に自然体で向き合えるようになってきている未来に向け、大いなる期待がもてる加納さんと石井さんの課題研究といえる。
 馬や牛などの堆肥は、まさに循環型社会への発想を広める上で、有機農法、地球温暖化、カーボンニュートラル、循環型社会、再生可能エネルギーなど、これらの堆肥には大きな可能性がある。大垣養老高校の先生のみのサポートに留まらず、企業や研究機関などの大人たちが積極的に協力し、わすか1年でバイオガス発電に成功している。大垣養老高校の三輪先生も話されたようにまだまだ課題は多いが、こうして高校生たちの思いを実装に向けた研究を進めていくことは実に気高い。
 このテーマをどんどん追求していただきたい。持続可能な地域農業へ向けて、イノベーションの源泉として大きな期待をしている。

※氏名・所属・役職等は、取材当時のものです(取材実施日:2025年2月)