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Interview
SDGsの先駆者に訊く

Re:toucher 62
日本茶のタブレットなど、
日本茶のある生活を提案。

平塚香貴園(岐阜県大垣市)

平塚 眞由美さん
インタビュアー Re:touchエグゼクティブプロデューサー 田中 信康
SDGsターゲット
  • 12 つくる責任 つかう責任
  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう
※このターゲットはRe:touch編集部の視点によるものです
日本の茶どころといえば静岡県。岐阜県では白川茶や揖斐茶がよく知られているが、岐阜県大垣市の上石津町でも奈良時代からお茶づくりが行われてきた。美濃上石津茶を生産・販売している平塚香貴園(ひらつかこうきえん)では、1人用の急須がついた「大垣かみいしづ茶ひとしずくセット」が、ANAが運営するショッピングサイト「ANA Mall」にも採用されている。
平塚香貴園は1958年(昭和33年)に創業。芳醇な香りがする茶葉の品種「あさひ」を、「かぶせ茶」という方法で丁寧に栽培している。2018年には6次産業化の認定を受けて、日本茶のタブレットを独自開発。岐阜関ケ原古戦場記念館をはじめ周辺の歴史史跡などで、日本茶やタブレットの武将シリーズを次々とリリースしている。
今回は、日本茶にもっと親しんでほしいという平塚香貴園の平塚眞由美さんにお話を聞いた。

芳醇な香りのあさひを、
かぶせ茶で丁寧に栽培。

田中:今回は、平塚香貴園の平塚眞由美さんにインタビューさせていただきます。

平塚:よろしくお願いします。

田中:平塚香貴園さんはいつごろから上石津町でお茶づくりをされているんですか?

平塚:平塚香貴園の創業は1958年(昭和33年)の4月です。主人の祖父が上石津村の村長をしながら、家業として茶葉を生産していました。

田中:村長さんをされていたんですね。

平塚:現在は、あさひという品種の茶葉を、黒い遮光布を1週間ほど茶樹に被せるかぶせ茶という方法で栽培しています。こうすると、渋みと苦みを抑えたお茶にできるんですよ。

田中:土づくりにもずいぶんこだわっていらっしゃるとか。

平塚:自然由来の発酵食品と黒砂糖を主原料にした土壌改良材を使用していて、土のなかの微生物を活性化することで茶樹を旺盛にしています。また、人間や動物など自然環境にもやさしくて、ぎふ清流GAPの評価を受けて、安心・安全なお茶づくりをしています

田中:そうやって丁寧に栽培されている茶葉を、「美濃上石津茶」として生産・販売されているんですね。

平塚:海外で日本茶がすごいブームになっていますが、うちは主人と私の2人で経営していますので、なかなか手を広げられないです。

田中:伊藤園が大谷翔平ボトルを発売したりして、日本茶ブームに拍車をかけていますもんね。

平塚:うちでも、おおがき茶のペットボトルを販売させていただいています。大垣市のふるさと納税の返礼品にもしていただいていますし、高速道路のサービスエリアなんかでは地域のお茶がよく売れるんですよ。

田中:全国的な地産地消の取り組みが追い風になっていらっしゃるんですね。

平塚:うちも岐阜県の地産地消ぎふ応援団になっていて、地産地消イベントなどに協力させていただいています

田中:すばらしいですね。

平塚:先日も、ANAさんが運営されているショッピングモールANA Mallにご採用いただくことができまして、とてもびっくりしています。大垣市では、うちと鮎料理専門店さんだけでした。

田中:平塚さんは、そういったところにアンテナを張っていらっしゃる印象を持ちました。

平塚:ANA Mallは岐阜県さんから紹介してもらいました。おかげさまで、みなさんからいろいろなお話をいただくことが多くなりました。

田中:平塚香貴園さんのお茶づくりが評価されているからでしょう。

平塚:ありがとうございます。

田中:私は小さいころ上石津町にはよく遊びに来ていて、本当に自然がいっぱいあっていいところですもんね。最近では、鮎もたくさん戻ってくるようになって。

平塚:そうなんですよ。上石津町ににぎわいを取り戻すために、大垣市さんも一生懸命やっていてくださるんで。

田中:地域みんなで盛り上げていきたいですね。

平塚:上石津町は豊かな自然だけでなく、島津義弘が前進退却した「島津の退き口」など、関ケ原合戦にもゆかりの深いところなんですよ。

田中:円安で外国人が日本にたくさんいらっしゃるようになりましたら、そういったインバウンドなんかも取り込めるようになるといいですね。

平塚:関ケ原古戦場がすごいんですよ、今、外国人の方。

田中:そうですよね。

平塚:岐阜関ケ原古戦場記念館さんの別館にあるショップでは、関ケ原合戦に参陣した武将などをモチーフにした日本茶を販売してもらっています。うちのコーナーがあるんですよ。

田中:関ケ原合戦では石田三成が大垣城に入城していましたので、大垣城でも石田三成の日本茶やタブレットを販売してもらえないかお願いしているところです。


6次産業化の認定を受けて、
日本茶のタブレットを開発。

田中:平塚香貴園さんでは6次産業化にも取り組んでこられて、日本茶のタブレットなどを商品化されていますが、こうしたことのきっかけは何だったんですか?

平塚:もっと手軽に日本茶に親しんでもらえないかと思いました

田中:でも、日本茶のタブレットって、そんなに簡単なことではなかったのでは?

平塚:はい。うちの茶葉の粉末を使ったタブレットなんですけど、これを固めて味を整えるまでに2年かかりました。

田中:思ったより早い。

平塚:本当に試行錯誤の連続で。茶葉の粉末を固めた商品がなかったので、詳しいことはわかりませんが、たぶん日本唯一だと思います

田中:確かに。

平塚:岐阜県の職員の方にも本当にお世話になって。

田中:何が大変でした?

平塚:やはり、大切なのは味ですから。また、粉末を固めることも大変で、打錠してくれる工場を探すのにも苦労しました。途中でやめようかと思いましたもん。

田中:緑茶、ほうじ茶、和紅茶の3種類があるんですね。

平塚:そうですね、今は。

田中:あんまり見かけないですもんね、お茶のタブレットって。

平塚:そうです、そうです。

田中:日本茶を飲むだけでなく、いろいろな生活シーンで楽しんでもらえるようにしたんですね。

平塚:はい。これまで地道に販売してきて、ようやくみなさんに知ってもらえるようになりました。岐阜関ケ原古戦場記念館さんでは、石田三成と徳川家康のタブレットのほかにも、味を変えて7武将のお茶を販売してもらっています。石田三成は紅茶、徳川家康はほうじ茶、上石津町にゆかりが深い島津義弘は緑茶とか。大谷吉継も人気があって、関ケ原合戦ファンのみなさんには推しの武将がいるので。

田中:推しの武将ですか。なるほど。

平塚:2024年の夏に秋篠宮さまがお成りになったときには、岐阜県の特産品としてホテルに展示していただいたりもしましたよ。

田中:そんなところで宣伝してもらってよかったですね。

平塚:本当にありがたいです。

田中:お茶で有名な静岡県ですらないんですもんね、日本茶のタブレットなんて。

平塚:日本農業新聞に取り上げてもらったりしました。

田中:おー、すごい。

平塚:今はちょっと違うことを考えているんですけれど。茶葉をもっと増量して、味を改良しているところです。で、おしゃれなカラー缶に入れて販売しようと思っています。

田中:そういえば、墨俣一夜城で展示されている豊臣秀吉の黄金の茶室にちなんで、金色のパッケージの茶缶「豊臣秀吉茶金の茶缶」と緑茶タブレット「豊臣秀吉タブレット金袋」も発売されていますよね。

平塚:2026年のNHK大河ドラマが『豊臣兄弟!』なので。

田中:あー、だから。

平塚:『どうする家康』のときも、嵐のメンバーにはイメージカラーがあって、主演の松本潤のイメージカラーの紫でパッケージをデザインしたら、もうすごく当たりました。

田中:ファン心理をよくご存じで。

平塚:もう松潤ファンがすごかったですね。今でも養老サービスエリアさんに置いてもらっているんすけど、まだ購入される方がいらっしゃいますよ。

田中:こうした商品企画は平塚さんがお考えになっているんですか?

平塚:そうですね。でも、だいたいはみなさんからの依頼が多いですね。店舗を改装したから置いてくださいとかで、マックスバリュさんの大垣東店、穂積店、各務原那加店、あと、伊吹山ドライブウェイ山頂のスカイテラス伊吹山でも販売していただいています。

田中:そうなんですよね。

平塚:このあたりの道の駅さんでは、パレットピアおおの、nocca(ノッカ)、月見の里南濃、手作り工房あめんぼとか。


上石津町には製茶工場がないので、
生産者ごとに独特の味がある。

田中:ありがたい話ですよね。茶葉の生産とかは追いついていますか?

平塚:うちには、茶畑が150アールあります。主人がやっているんですけど。以前は、茶葉の生産者が7軒あったんですよ、上石津町に

田中:そんなにあったんですか。

平塚:今は2軒になってしまいました。上石津町には共同の製茶工場がないんですね。すべて個人でやらなければなりません。

田中:うわー、大変だ。

平塚:逆に、それが特長なんですよ。お米と一緒で、茶葉の生産者さんごとに独特の味があって

田中:以前は、7つの味があったんですね。

平塚:製茶工場の茶師さんのさじ加減で味が変わるように、また、販売方法もそれぞれ異なっていましたよ。

田中:日本茶のタブレットは販売されて何年になりますか?

平塚:2018年の2月28日に、6次産業化の認定を受けました。

田中:かれこれ6年。

平塚:ほかにも、多治見市の美濃焼や四日市市の萬古焼とコラボさせていただいた商品などがあります

田中:日本茶の楽しみ方みたいなことをご提案されていますね

平塚:岐阜県のアンテナショップ「清流の国 THE GIFTS SHOP」さんでも販売してもらっているんですよ。

田中:とてもおしゃれですね。

平塚:岐阜県の商工会さんの手助けとかもいただきながら。

田中:すごいですね。

平塚:大垣ビジネスサポートセンターGaki-Biz(ガキビズ)さんにもいろいろとお世話になっています。逆に、私がGaki-Bizさんに名古屋市とか岐阜市のお店をご紹介することもあるんですよ

田中:そうやって人と人のつながりが生まれているんですね

平塚:清流の国 THE GIFTS SHOPさんではオープン当初から販売させていただいていますが、ここでも商品の入れ替えとかがあってずっと採用してもらうことが大変で。

田中:平塚さんが商品開発されているものは、どれも着眼点がすばらしいですね。

平塚:ありがとうございます。東京駅とか大阪駅で岐阜県のイベントがあるときも必ず採用していただいて。

田中:やっぱり、しっかりとアンテナを張っていらっしゃる。

平塚:本当に、みなさんから連絡していただけるのですよ。


日本茶をもっともっと
広めていきたい。

田中:そもそも6次産業化されたのは、どんな思いからですか?

平塚:とにかく日本茶を広めていきたいと

田中:平塚さんの名刺を拝見すると、確かにいろいろな資格を取得されていますね。

平塚:茶育指導士、日本茶販売アドバイザー、日本茶アンバサダーとか

田中:すごいな。平塚さん自身が美濃上石津茶の広告塔になられている

平塚:最近、もうやめようと思っていても、すぐにやりたくなってしまって。

田中:それはもったいない。平塚さんのようなアイデアウーマンには、もっとがんばってもらいたいです。

平塚:今やりたいことは、もっともっと日本茶らしいものをつくりたいです。

田中:日本茶のある生活文化を提案していきたいと。

平塚:そうですね。先日も、大阪府のあべのハルカスで大阪・関西万博に向けたイベントがあったんですよ。岐阜県からご紹介いただいて、バイヤーさんから連絡がありました。

田中:日本茶は古来からある生活文化ですから。

平塚:急須でお茶を入れる方がいないんですよ、とにかく。小学校へ行っても、おうちに急須のない子どもがいっぱいいたんで、これではいけないなと思って

田中:平塚さんとお話させていただいていると、もちろんアイデアもすばらしいですけど、やっぱり人と人のつながりを大切にされている。

平塚:いやいや。

田中:だから、岐阜県もいろいろと紹介してくれるのだと思いますよ。

平塚:ありがとうございます。それと、上石津町が廃れていくのがとても寂しいので

田中:そういった声をよく聞きます。

平塚:そうなんですよ。

田中:多良小、時小、一ノ瀬小、牧田小が統合される前に、これらの小学校で総合的な学習(探求)の時間でSDGsについて教えていたとき、子どもたちが自分の居場所がなくなることの怖さを訴えていました

平塚:子どもたちも感じているんですね。

田中:そうなんですよ。

平塚:上石津町には農協もない、銀行もない。大垣市さんは移住・定住に力を入れてくれてはいますが、若い人たちが上石津町から出て行かないようにもしてほしいです。

田中:私もよく上石津町に足を運ばせていただいていますが、本当に地域への愛情とか、上石津町を何とかしたいというみなさんの思いが、ほかの地域と比べて全然違いますね。

平塚:だって、交通の便もすごくいいですもんね。三重県にも滋賀県にもね。こんなにいいところないんですよ。

田中:最近では、林業をやりたいという若い人たちも増えていて、こういった若い人たちが住み続けられるようになるといいですね。

平塚:もったいないです。こんなにいっぱい自然があるのに。

田中:上石津町ではバイオマスエネルギーにも取り組んでいますし。

平塚:そう。うちの茶畑でも育ちが早いというアオギリを育てていますよ。

田中:こういうことを地産地消でやっていくのも、上石津町の生き残り戦略の1つだと思いますよ。

平塚:そうですね。でも、上石津町はまだまだ発信力が足らないので、地域のみんなでがんばっていかないと

田中:がんばってください。

平塚:うちのおじいちゃんは旧上石津村の初代村長でした。牧田村、一ノ瀬村、多良村、時村の合併に尽力したとか。私は、上石津町に恩返ししていかなければならない家系なんですよ

田中:初代だったんですね。


上石津町のお茶づくりは、
奈良時代に始まった。

平塚:私には、ぜひ日本茶を急須でみなさんに飲んでもらいたいという思いがあります

田中:それが根っこにあって、たくさんの人たちに日本茶をいろいろな生活シーンで楽しんでもらいたいと

平塚:とにかく、日本茶に興味を持ってもらうことがコンセプトです。私も若くないので、いつまでできるかわからないんですけど。

田中:揖斐川町とかこのあたりにはおいしいお茶がいっぱいありますから、そうしたところとも連携できるといいですね。

平塚:そうそう。上石津町のお茶はあまり知られてこなかったのですが、その歴史はものすごいんですよ。奈良時代からあったんですから

田中:そんなに古くから。

平塚:そうなんですよ。だから、こうしたことをもっと掘り起こしていきたいです

田中:おもしろくなりそうですね。

平塚:この地域には伊勢街道や九里半街道が通っていて、以前は行商が盛んでとてもにぎわっていたそうです。

田中:プロモーションですね、やっぱり。

平塚:私は年1回、名古屋市の金山駅で行われる岐阜県観光連盟さんのイベントに行くんですけど、うちのお茶もまだまだ知名度が低いと感じますね。ブランド力のある銘柄の方がいいと買われる方もあるし、うちのがいいと待ちわびて買いにきてくださる方もあります

田中:シビアな競争がありますね。

平塚:そうですね。うちのを飲んでいただければわかるという自負もありますし、そういうファンの方もいてくださるので、本当にありがたいですね。

田中:今回このようなご縁をいただきましたので、Re:touchでもぜひ協力させてください。

平塚:上石津町には本当にいいものがいっぱいあるんでね。ぜひぜひ。

田中:ピザのめちゃくちゃおいしいカフェもありますし。

平塚:シイタケもすごくおいしいんで、上石津町。お米もおいしいでしょう。

田中:もうブランド米といっても過言じゃないですよ。

平塚:そうです、そうです。水がきれいなので。

田中:水だけでなく、空気もきれい。

平塚:そうそう。私は岐阜県指導農業士を20年やっていて、岐阜県中の農家さんに視察に行ったことがあるんですけれど、本当にお米はすごいですね、上石津は。

田中:そんな平塚さんがおっしゃるなら間違いないですね。

平塚:そうです、そうです。で、お茶も水とか土とかがとても大切なんですよ。大垣市にある老舗和菓子屋の社長さんがよくいっていたのは、上石津町の栗って本当においしいらしいんですよ、土がいいので。

田中:へえー。


だれもやらない商品でないと
絶対にだめやと思って。

平塚:以前は、岐阜県の特産品もあまりなかったんですよ。それではいけないと、岐阜県と日本イベント企画さんが特産品づくりを始められて。関ケ原駅前観光交流館さんができたとき、うちの日本茶を置いてもらいました

田中:平塚さんのように、だれもやったことのないことに挑戦するのは、とても勇気が要ることですよね。

平塚:でも、だれもやっていない商品をつくらないと絶対だめやと思って

田中:なかなかできることではないですよ。

平塚:今、大垣市の和菓子屋さんでほうじ茶の粉末を使ったお菓子を作っていただいているんですよ、大垣城の石垣の形をしたお菓子。

田中:それはおもしろい。

平塚:社長さんがぜひって。うちの茶葉を使ったお菓子をっていってね。とてもおいしいお菓子なんで。

田中:そういった地域でのコラボもやっていらっしゃるんですね。確か、地域の素材を使ったパンを作るガキパンプロジェクトにも参画されていて。

平塚:はい、はい、そうですね。地元や三重県、東京都などのケーキ屋さんとか料理屋さんとかにも、茶葉や粉末を使っていただいています。大垣市の料理屋さんには、もう何十年と納めているんですよ。

田中:いろんなところで使われているんですね。

平塚:ほうじ茶のシュークリームとかクッキーとかにこだわって作っていらっしゃる方もいるんですよ、大垣市に。

田中:おー、うまそう。

平塚:そういう方は必ず足を運ばれますね。この直売所にいらっしゃって、茶畑も見られて。

田中:お茶づくりの現場をしっかりと確認されるわけですね。

平塚:もう本当にやめようって思っていても、こうしたおもしろい話がまた来てみたいな。


小学校で茶摘み体験を
35年間やってきた。

田中:きっと、日本茶のことが大好きなんですね。

平塚:上石津町を盛り上げていきたいというのもあるんで。

田中:私も、自分が生まれ育ったふるさとに少しでも恩返しできないか、何か協力させていただくことはないか、そんな思いでRe:touchをやらせてもらっています。

平塚:私は、地域の小学校で茶摘み体験を35年やらせてもらってきました

田中:35年とは、中途半端な気持ちではできないですよ。

平塚:そう。だから、保護者が茶摘体験した子どもさんが、保護者と一緒に来てくれることもありますよ。

田中:あー、すごいいいですね、それ。

平塚:大垣養老高校にも行かせてもらっていますよ。

田中:高校ではどんなことを?

平塚:新しく開発した日本茶を文化祭で販売させていただいて。その担当の先生が息子の担任だった方で。

田中:不思議なご縁を感じますね。

平塚:すごいでしょう。先生が電話をくださったんですよ。大垣養老高校へ行って、高校生たちのエネルギーをいただいています。

田中:日本茶の生活文化を伝えながら、日本茶に親しんでもらっていると

平塚:そう。茶摘み体験に来てもらって、日本茶の入れ方教室の道具を高校へ持っていって飲んでもらって、それからの商品開発なんですよ

田中:それは本当に大変なことでしょうが、新しい日本茶のリサーチにもなりますね

平塚:そこまでやらないと、日本茶のよさが伝わらないので。2年にわたってやらせていただいています。

田中:なんかいいですね。

平塚:日本茶を作ることが大変だということもわかってもらえるし。もっともっとみんなに日本茶を楽しんでもらいたいです。

田中:本当に。

地域には宝物があるのに、
だれも気づかないことも。

平塚:上石津町でもお茶づくりがされてきたことと、それが奈良時代から行われていることを、もっと知ってもらいたいなと思っています

田中:すごい情熱ですね。

平塚:いやいや。東京ミッドタウンに「THE COVER NIPPON」という伝統的工芸品のライフスタイルショップがあるんですけど、そこへも4回ぐらい行きました。

田中:本当にいろいろなところで宣伝されていますね。

平塚:はい。消費者の方にうちの日本茶の説明に。飛騨市で薬草を手がけている方のお店なんですよ。

田中:そうなんですね。

平塚:はい。でも、薬草とはいいところに着目されて、そういう宝物が飛騨市にはあったのに、だれも気づかなかったんやね、きっと。

田中:そういうことって意外に多くて。うちで長良川リトリートという社団法人を立ち上げていて、観光や農業などの地域資源を掘り起こしながら、持続可能な地域づくりを提案しています。この長良川リトリートで、関市にある「神薬才花苑」っていう薬草苑を見つけて、これがものすごいんですよ。

平塚:へえー、そうなんですね。

田中:しかも、個人でずっと管理をされてきて。で、神薬才苑さんと連携させてもらって、そこの薬草を使って薬膳料理にしたりとか、先日も東京観光財団に呼ばれて、著名な放送作家らと打ち合わせしてきたところなんですよ。

平塚:そんなことがあるんですね。

田中:長良川流域をどんどんアピールしていきたいと。

平塚:ね。すごいですね。

田中:新しいものを生みだすことって本当に大変ではないですか?

平塚:ずっとずっと大変だったんですよ。日本茶のタブレットにしても、もう岐阜県庁へ何回も足を運んで。タブレットの大きさとか配合とかね、いろいろ。タブレットの打錠には本当に苦労して、最初、茶葉の粉末だけで固めようと思っていたんですけど。

田中:それができなかったと。

平塚:そう。でも、岐阜県の職員の方が一生懸命、手を貸してくれたので。

田中:パッケージにも力を入れられていて。

平塚:石田三成と家紋があるでしょう。

田中:ああ、はいはい。本当だ、本当だ。

平塚:石田三成って、すごい人気があるんですよ。関ケ原古戦場では、石田三成がすごい。徳川家康より人気があるんですよ。

田中:先ほど、NHKの大河ドラマなどを先取りしているとお聞きしましたが、ほかにはどんなことに気をつけていらっしゃるんですか?

平塚:パッケージですかね。パッケージで売れ行きが違うので。武将茶のパッケージも3回ぐらい変えています。あとは、関ケ原古戦場ではやっぱり武将じゃないと売れないですね。岐阜関ケ原古戦場記念館さんの別館にあるショップには本当にお世話になっています。

田中:最近のおすすめはありますか?

平塚:ソロキャンプとかキャンプが人気になっていますので、キャンプのときにコーヒーばかりじゃなくてお茶もっていうコンセプトでつくったのが、セルフ焙煎茶「焚き火 Tea」です。フライパンなどで焙煎してもらうことで、香りの変化が楽しめるほうじ茶になっています。

田中:自然のなかで日本茶の香りが楽しめるのかあ。とってもいいですね。

平塚:生活やレジャーなどのいろんなシーンで、本茶を飲む方が増えてくれればうれしいですね

田中:6次産業化の認定を受けられていらっしゃるのは大きいですね。

平塚:もう、みなさんのお力をお借りして。地域の歴史に着目したことが一番よかったですね。関ヶ原駅前観光交流館さんがオープンしたときは、関ケ原合戦をモチーフにした商品があまりなくて。

田中:平塚さんの行動力が功を奏したんだと思いますよ。今日は、ありがとうございました。

TOPIC

  • 12 つくる責任 つかう責任
  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう
※このターゲットはRe:touch編集部の視点によるものです
日本茶やタブレットの
武将シリーズがヒット。
岐阜県大垣市の上石津町にある平塚香貴園では、芳醇な香りが特長のあさひの茶葉を、旨味と甘味を引き出すかぶせ茶で栽培。自社工場で製茶した茶葉の粉末を原料にして、甘味料を抑えすっきりとした清涼感の日本茶タブレットは、仕事やレジャー、スポーツなどで気分転換になる。
6次産業化の認定を受けて、だれもやっていない商品をつくりたいと、平塚香貴園が独自開発。日本茶の風味が楽しめる緑茶のほか、茶葉を醗酵した和紅茶、煎茶を焙煎したほうじ茶の3種類があり、石田三成、徳川家康、豊臣秀吉の武将シリーズもある。
また、日本茶を1人でゆっくりと味わいたい場合は、専用の急須がついた「美濃上石津ひとしずくセット」。キャンプやアウトドアで焚き火をしながら、フライパンなどで茶葉を焙煎するセルフ焙煎茶「焚き火Tea」など、日本茶のある新しい生活シーンを次々と提案している。

Company PROFILE

企業名(団体名) 平塚香貴園(ひらつかこうきえん)
代表者名 平塚 一
所在地 〒503-1624
岐阜県大垣市上石津町三ツ里355

Re:touch Point!

奈良時代から続くお茶づくりとは、こうした宝物がまだまだ眠っている。

Re:touch
エグゼクティブプロデューサー
田中 信康
茶育指導士、日本茶販売アドバイザー、日本茶アンバサダーが名刺に並ぶ平塚香貴園の平塚眞由美さん。地産地消ぎふ応援団やぎふ清流GAP、岐阜県指導農業士などのほかにも、岐阜県の特産品をPRするイベントがあればすぐにお呼びがかかる。ご本人は否定されていたが、これだけアンテナを張っていらっしゃるからこそ、ANA Mallをはじめいろいろなところから引き合いがあるのだろう。
こうした美濃上石津茶の広告塔として活躍されている平塚さんの原動力となっているのは、上石津町ににぎわいわいを取り戻したいという思いにほかならない。地元の小学校で続けてきた茶摘み体験は35年に及び、親子2世代にわたり日本茶ができるまでを学んでいる。上石津町では奈良時代からお茶づくりがされてきたそうで、岐阜県にはこうした地域の宝物がまだまだ眠っているに違いない。